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閉じカッコ直前の句点について - 小説を書いてみる 2009/01/10 23:05
前回、文章の書き方の基本について色々と指摘を受けたことを書いたところ、「カギカッコを閉じる時の句点の扱い」について、たくさんのご意見をいただきました。


参考として送っていただいたURLをいくつか紹介したいと思います。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1214954247
http://www.raitonoveru.jp/howto/h/311a.html
http://ikemidoujou.com/bun/ron/ron13.html



……なるほど、結論から言うと「厳密には会話文のカギカッコを閉じる時にも句点を打つ」といのが正しいのでしょうか。

前回は、「言われてみると小学校で句点は打たないと習った気がする」なんて書きましたが、どうやら完全に気のせいだったようです。お恥ずかしい。

ただ、上で紹介したURLのページでも解説されている通り、商業出版物では慣例的に会話文の閉じカッコの前に句点は打たないようです。

実際の所どうなんだろうと、家にあった小説を30冊くらい調べてみたところ、該当箇所に句点が打ってある書籍は1冊だけしか見つけることができませんでした。

その書籍は、調べてみたら1956年に出版されたもののようで、古い書籍はこの句点のルールがまだ統一されていなかったようですね。



えーと、つまりどいうことなのでしょう。皆さんから教えていただいたことや、URLの先で解説されていることを一言でまとめると「統一されていればどっちでも良い」ということになってしまいかねないのですが、そういうことなのでしょうか。

公用文や学校教育では基本的に句点を打つ。と、URLの先でも解説されていますが、それ以外の文章では厳密な決まりというのは無いようですね。

商業出版物でも、古い作家さんの作品だと句点を打っているものもたくさんあるそうですが、最近出版されたものでは句点を打っているのはほとんど無いとか。

しかし、「句点を打たないのが正しい」というルールが存在するわけでもないようなので、結局の所は「文章を書く人の好みで良い」ということになってしまうのでしょうか。いいのかなそんな感じで。



さて、今後この企画でアップしていく小説はどうするのかという点ですが、ここは商業出版物の慣例に従い、「会話文の閉じカッコの直前には句点を打たない」という形を取りたいと思います。

僕自身の感覚としては、閉じカッコの直前に句点を打たないのはすごく違和感があるのですが、まずド素人の僕は慣例に従っておこうと思います。




話は少しそれますが、音楽理論の用語で「借用和音」という言葉があります。

和音の進行に関する用語で、和音進行の中で一時的に別の調からドミナント性質の和音を「借りてきて」使用するという手法で、和音進行にアクセントを付ける時や転調する時等によく使われます。

この手法、借りてきた和音のドミナント性質に従って、その次に進行する和音はほぼ決まっているのですが、敢えてこれを無視して別の和音に進むという手法も存在します。

扱い方さえ間違えなければ真新しく美しい響きを作り出すことができるこの基本を外した手法ですが、元々古いクラッシック理論では「絶対にやってはいけない和音進行」でした。

禁止されていた理由は「音の流れが不自然になるから」というものだったのですが、これは時代が流れるにつれ「新しい響き」として受け入れられていきました。

ルールは時代によって移り変わっていくものという良い例だと思います。

ただ、これは「借用和音」や「逆進行」といった和音進行理論の基本を理解していないと、ただルールを無視した汚い和音進行になってしまう危険性があります。

「本来そうあるべきである」という基本を知っているからこそ、狙ってそれを外すことができるわけです。


ルールを破って新しい試みをするには、そのルールをよく知り、そのルール内で試行錯誤し、それからやっと可能なものだと思います。

もちろん、ルールを全く知らないからこそ生まれる新しい発想もあると思います。

しかし、それは本当に偶然の産物で、狙ってやれるものではありません。狙うにはそもそもその狙いが正しいのかどうかを判断するためにルールを知らないといけませんし。

また、新しいルールとは、まず素晴らしい作品があり、それがどうして素晴らしいのか分析していったら、それまでのルールに縛られない新しい手法が使われていた。というように生まれていくものだと思います。




話は戻って「会話文の閉じカッコの直前の句点」に関してですが、「基本は打つ。でも商業出版物の慣例では打たない」という感じらしいので、この企画では「小説を書く」というのがテーマですし、小説というとなんとなく商業出版物という印象があるので、句点は打たない方向でいこうと思います。

「借用和音」の件を引用してくるほど大袈裟な話でもないような気もしますが、素人のうちは基本や慣例を大事にしましょうという話として聞いていただけるとこれ幸いでございます。


ご意見をくださった皆さん、ありがとうございました!




さらに余談ですが、音楽理論を知っているかどうかと、良い曲を作れるかどうかは全く関係ありません。小説についても全く同じことが言えるでしょう。

結局のところ、良い作品を作ることができるかどうかは、基本を守っているかどうかではなく、作り手のセンスにかかっているということなんでしょうね。


精進します!

ではまた次回〜






だんでぃ

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